日本毒性学会学術年会
第41回日本毒性学会学術年会
セッションID: W4-1
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ワークショップ 4 医薬品のがん原性評価に対する新たなアプローチ
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*青木 豊彦
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抄録
2012年4月にICH S1(医薬品のがん原性試験に関するガイドライン)変更に向けた活動が正式なトピックとして採択され,専門家作業部会(EWG)による具体的な活動が開始されたことを受け,2012年7月の第39回本学会学術年会において,「慢性毒性試験結果からの発がん性予測」としてシンポジウムが開催された。その後,新たながん原性評価法に関する取り組みとして,証拠の重み付け(WOE)に基づいたヒト及びラットにおける発がんリスクの予測に基づき、その根拠が十分であればラットがん原性試験の実施免除が可能であるとの仮説が提唱された。本仮説の検証のために,2013年8月に発出された規制通知文書(RND)に基づいて前向き調査期間(PEP)が開始され,これまでに複数の開発医薬品についてのCADが規制当局に提出されている。
本WSでは,RNDで規定したWOEの中でもICH S1ガイドライン変更の要因となったNEG CARC Rat基準の要素である病理評価,遺伝毒性,ホルモン作用について,それぞれの専門家の立場からがん原性評価における留意点を解説いただく。さらには,医薬品の薬理作用に起因するげっ歯類特異的な腫瘍発生とヒトへの外挿,リスク評価について最近の事例を取り上げて紹介いただくと共に,医薬品の発がん評価代替法として受け入れられている遺伝子改変マウスモデルについて,主に米国での実施状況及び今後の展望ついても解説いただく。
本企画が,医薬品の新たながん原性評価法を検証する前向き調査に対する今後の取り組みの必要性に対して,多くの日本製薬企業の理解と協力を頂く一助となることを期待する。

EWG: Expert Working Group, WOE: Weight of Evidence, PEP: Prospective Evaluation Period, RND: Regulatory Notice Document, CAD: Carcinogenicity Assessment Document, NEG CARC Rat: negative for endocrine, genotoxicity, and chronic study-associated histopathologic risk factors for carcinogenicity in the rat.
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© 2014 日本毒性学会
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