日本毒性学会学術年会
第42回日本毒性学会学術年会
セッションID: O-21
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一般演題 口演
オクラトキシンAの発達期暴露によるラット海馬歯状回における生後のニューロン新生に対する影響
*田中 猛阿部 一白木 彩子板橋 恵木村 真之水上 さやか渡邉 洋祐寒川 祐見吉田 敏則渋谷 淳
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抄録
【目的】オクラトキシンA(OTA)は主にAspergillus属のカビが産生するマイコトキシンであり、穀物やコーヒー、ビールといった幅広い食品で汚染例が報告されている。その毒性影響として腎毒性や腎発がんの他に中枢神経毒性が知られているものの、後者の特性は十分に検討されていない。本研究ではOTAの神経発生毒性の病理学的なリスク評価を目的として、ラットを用いたOTAの妊娠期・授乳期暴露実験を行い、海馬歯状回におけるニューロン新生への影響を検討した。
【方法】各群10匹の妊娠SDラットにOTAを0、0.12、0.6、3 ppmの濃度で妊娠6日目から離乳時(分娩後21日目)まで混餌投与した。離乳時及び分娩後77日に児動物を解剖し、雄性児動物の海馬歯状回での、顆粒細胞層とその下帯(subgranular zone: SGZ)におけるニューロン新生の各段階にある顆粒細胞系譜の細胞数の変動及び歯状回門におけるGABA性介在ニューロン及び成熟ニューロンの分布を免疫組織化学的に検討した。
【結果】児動物では離乳時に3 ppmで脳相対重量の高値及び腎臓相対重量の低値がみられた。免疫組織化学的に、離乳時における児動物のSGZでは3 ppmでPAX6及びTBR2陽性細胞が減少したが、BLBP及びDCX陽性細胞数は変動せず、アポトーシス及び細胞増殖活性に影響はみられなかった。歯状回門では3 ppmでsomatostatin陽性細胞が減少したが、calbindin、calretinin、parvalbumin、reelin及びNeuN陽性細胞は変動しなかった。これらの変化はいずれも分娩後77日では消失した。
【考察】OTAのラットに対する妊娠期・授乳期暴露により、離乳時の海馬歯状回において3 ppmで顆粒細胞の分化及び生存を制御するGABA性介在ニューロンが減少し、type-2前駆細胞を標的とするニューロン新生障害が認められたが、影響は可逆的であった。
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© 2015 日本毒性学会
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