日本毒性学会学術年会
第42回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-101
会議情報

一般演題 ポスター
in vitroでのPeapod-CNTの生体応答
*丸山 佳与羽二生 久夫小林 伸輔鶴岡 秀志松田 佳和青木 薫岡本 正則高梨 誠司野村 博紀田中 学滝沢 崇大石 歩薄井 雄企齋藤 直人
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】我々はカーボンナノチューブ(CNT)の体内動態を計測するため、CNTの内部空間に造影効果のある金属分子を内包させたPeapod-CNTを作製してマイクロCTでの検出を試みている。現在主流のCNTを使ったイメージング剤は表面を修飾するタイプであるが、表面修飾したCNTと未修飾CNTとでは細胞内への取り込みが変化することが明らかになっている。Peapod-CNTは分子を内包化させるため、表面修飾のような生体応答への影響は少ないと考えられているが、ラジカル産生に影響を与えるという報告もあり、未処理CNTと比較した時の生体応答に違いがあるかは定かでない。そこで我々は細胞レベルでPeapod-CNTと未処理CNTとで生体応答性を比較した。【方法】Peapod-CNTは東レの2層CNT(DWCNT)を用いてガドリニウムと白金を内包化させた。これに未処理と加熱処理をしたDWCNTを加え、V79繊維芽細胞とRaw264.7マクロファージ細胞を使ってコロニー法とアラマーブルー法による細胞毒性試験、フローサイトメーターと形態観察による細胞内取り込み、サイトカイン測定による炎症反応を測定した。【結果】細胞毒性試験ではPeapod-CNTsと未処理CNTともほとんど細胞毒性は見られなかった。これらの形態観察をしたところ、多くのCNTで観察されている細胞内の取り込みは貪食細胞であるRaw264.7細胞でも見られず、細胞表面に接着しているCNTが多く観察された。この接着したCNTによると思われる炎症反応を含む細胞応答性には差が見られた。【考察】これらの結果から、CNTの生体内動態解析を目的としたPeapod-CNTは未処理CNTと同様に細胞内に取り込まれないことから、生物応答による生体内動態の差はないと考えられ、有力なCNTの構造特性に依存した体内動態解析ツールになる可能性がある。

著者関連情報
© 2015 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top