抄録
目的:Magnetic Resonance Imaging(MRI)は,非侵襲的かつ高感度に生体内の病巣を捉える方法として,臨床的に幅広く用いられている。本研究では,非臨床安全性試験での毒性評価におけるMRIの有用性を検証するため,高性能コンパクトMRI-Histologyシステムを用いて,中枢神経病変モデルでの固定臓器におけるMRI画像と病理組織学的変化の相関性を検討した。
方法:SDラットにpilocarpine(30 mg/kg)を単回投与し,1週間後に4%PFAにて全身灌流固定後に脳を採取した。Aspect Imaging社製永久磁石を用いた1T MRIシステムによる解析を行なった後,病理観察を実施した。
結果・考察:Pilocarpine投与により,てんかん重積状態が認められた。MRI解析により,大脳の梨状皮質,視床外側核および視床下部後野において,short T2パターンが認められた。同一脳組織における病理観察の結果,MRIのshort T2パターン部位と一致して,神経細胞の変性/壊死が認められた。以上から,剖検後の固定臓器におけるMRIは,病変の有無とその分布を予め把握し,毒性病理評価の有効なツールとして利用できる可能性が示された。