日本毒性学会学術年会
第42回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-198
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一般演題 ポスター
イメージング質量顕微鏡を用いたヒト肝細胞移植キメラマウス肝臓切片における4-フェニル酪酸代謝物の分析
*佐能 正剛山近 悠斗吉実 康美石田 雄二立野 知世太田 茂
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抄録
<目的>創薬において、医薬品の代謝物が薬効や毒性を示す可能性もあることから、ヒトにおける代謝物を予測することは重要である。「ヒト肝細胞移植キメラマウス」は、マウスの肝臓が高い割合でヒト肝細胞に置換されており、その肝臓にはヒト型の薬物代謝酵素の発現や活性が確認されていることから、ヒトの代謝物を予測するモデル動物として期待されている。本研究では、実験動物とヒトで代謝物生成における種差が知られている「4-フェニル酪酸」を検証化合物とし、ヒト肝細胞移植キメラマウスの肝臓中における代謝物プロファイルについて精査した。
<方法>ヒト肝細胞置換率が約70%のヒト肝細胞移植キメラマウス(株式会社フェニックスバイオ)に、4-フェニル酪酸を投与後の肝臓を採取し、凍結切片を作成した。その切片に各種マトリックスを蒸着させ、「イメージング質量顕微鏡」を使って、肝臓切片を観察し、4-フェニル酪酸の各代謝物の分子量情報から、代謝物生成と局在について調べた。
<結果・考察>4-フェニル酪酸は、ヒトにおいて、β酸化された代謝物、フェニル酢酸を経由し、-アミノ基転移酵素によってアミノ酸抱合されたフェニルアセチルグルタミン(グルタミン抱合)、フェナセチルタウリン(タウリン抱合)、およびフェナセツル酸(グリシン抱合)などが生成することが報告されている。ヒト肝細胞移植キメラマウスでは、代謝物に相当する分子量のモニターにおいて、グルタミン抱合体をはじめ、種々代謝物の生成、局在が確認できた。またこの中で、ヒト肝細胞移植キメラマウスの肝臓には、マウス肝細胞が残存しており、ヒトとマウスの肝細胞の領域を識別した代謝物の局在も精査できる可能性も示唆された。
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© 2015 日本毒性学会
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