日本毒性学会学術年会
第42回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-209
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一般演題 ポスター
生活関連化学物質のヒト健康と環境リスクアセスメント -暴露実態に基づく化学物質のリスク評価-
*西岡 亨野村 昌史佐々 友章舞原 文女本多 泰揮山根 雅之森田 修西山 直宏
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抄録
国際的な化学物質管理に関する戦略的アプローチ(SAICM)に沿って化学物質を適正に管理するためには、化学物質の有害性と暴露を定量的に評価し、ヒト健康と環境影響に関するリスクを科学的に解析することが重要である。
 消費者用製品に配合される化学物質のなかには、製品使用時に化学構造が変化して有用な機能を発現するよう設計された化学物質がある。従って、ヒトと環境に対するリスクを科学的に解析するためには、製品中に配合された化学物質の有害性に加え、製品使用時に生成される化学物質の挙動や有害性を把握することが重要となる。そこで今回、衣料用漂白剤の漂白活性化剤として配合している4-ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(DOBS)のリスク評価において、洗濯中の化学構造の変化と暴露実態について検討を行った。
 DOBSは製品使用時に洗濯槽内において短時間のうちに過酸に変化し、衣類の汚れに対して漂白作用を発現する。DOBSの洗濯槽内における化学構造変化を経時的かつ定量的に解析し、ヒトが暴露される化学物質および環境中に排出される化学物質の構造を明らかにした。次に、特定された化学構造からヒトおよび環境に対する有害性を評価した。その結果、洗濯中に生成される過酸は非常に短時間であり、遺伝毒性等の局所(皮膚)に対する有害性がないこと、および環境中に排出される分解性生成物の全身毒性は弱いことが明らかとなった。
 以上のことから、製品使用時に生成する化学物質を含め、DOBSが安全に使用できることが明らかとなった。製品使用時に化学構造が変化する化学物質の暴露評価およびリスク評価手法について議論する。
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© 2015 日本毒性学会
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