日本毒性学会学術年会
第42回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-52
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優秀研究発表 ポスター
構造方程式モデリングによる化学物質応答性核内受容体のインビトロ評価結果とラットのインビボ肝毒性情報の関連解析
*竹下 潤一吉成 浩一中島 宏之山田 隆志蒲生 昌志
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抄録
[背景] 反復投与毒性は化審法の要件であるなど、化学物質の有害性評価において重要な役割を果たす。一方で、動物試験にかかる労力・費用、動物愛護の観点から代替法の開発が望まれている。そこで本研究では、ラット肝臓の化学物質応答性核内受容体のインビトロ評価結果と反復投与毒性の主要なエンドポイントである肝毒性の統計的関連解析を行った。
[方法]ラットインビボデータは、(独)製品評価技術基盤機構が中心となって開発した反復投与毒性評価のインシリコ支援ツールである「有害性評価支援システム統合プラットフォーム(HESS)」に内蔵されているデータ(HESSデータ)を利用した。HESSデータより、肝毒性に関連するエンドポイントのNOEL(無影響量)を抽出し、データ解析の観測変数とした。インビトロデータとしては、HESSデータのある化学物質のうち190種類について、4つの転写因子AhR、CAR、PXR、PPARαの活性化作用を評価した結果を用いた。各物質の各転写因子にNOEC(無影響濃度)とNOECの次の濃度における増加率を観測変数として設定した。以上の観測変数を用いて、従来の統計的解析手法を包括する構造方程式モデリングにより、インビトロデータとインビボデータの関連解析を行った。
[結果・考察]インビボデータの観測変数として、肝細胞肥大、絶対・相対重量の変化の3つを用いた場合は、「インビトロ評価結果」と「インビボ肝毒性」を内生変数とする2因子モデルにより説明力の高いモデルが構築出来た。インビトロデータを説明変数、インビボデータを被説明変数とする多変量回帰モデル等は説明力が低いことも示した。よって、統計的データ解析方法の工夫で、インビボ肝毒性の予測精度の高いインビトロ試験系の構築が可能になることが示唆され、統計的データ解析方法の検討とインビトロ試験系の構築とは平行して進められるべきであると考えられる。
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© 2015 日本毒性学会
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