日本毒性学会学術年会
第42回日本毒性学会学術年会
セッションID: S1-5
会議情報

シンポジウム1 ヒトiPS細胞技術の薬剤安全性評価応用に向けた研究動向
ヒトiPS 細胞由来肝、神経及び心筋細胞の網羅的遺伝子発現プロファイル
*篠澤 忠紘
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
ヒトiPS細胞由来分化細胞は、株化細胞に比べ生体に類似した多くの複雑な機能を有する一方で、遺伝情報が同一であり、様々な細胞種を大量に入手できることから、in vitroにおける薬剤安全性評価への有用性が期待されている。これに伴い、既に複数の企業からヒト幹細胞由来心筋細胞、肝細胞及び神経細胞などが販売されることになり、いよいよ薬剤安全性評価応用という面で研究か加速していると思われる。ただし、同細胞は、株化細胞などのこれまで広く利用されてきた細胞種と異なり複雑な機能を有することから、安定的で信頼性のある試験データを得るためには、使用する細胞性状の理解が必要であると考えられる。即ち、利用する細胞の安定性や培養方法の最適化、異なるベンダーに由来する各々の細胞の特徴の理解が必要である。『ヒトiPS細胞応用安全性評価コンソーシアム』では、市販のヒト幹細胞由来機能細胞を性状解析し、生体機能との類似性や培養条件による性状変化、または施設間差やロット間差などについて、網羅的遺伝子発現解析を実施している。現在、心筋、肝臓及び神経チームより合計で120サンプルを収集し、実験は協賛企業の協力のもと一般財団法人化学物質評価研究機構で実施された。本シンポジウムでは、細胞性状解析に関する活動内容と、ヒト幹細胞由来心筋細胞、肝細胞及び神経細胞の遺伝子発現プロファイル結果を開示すると共に、各種細胞の性状理解について言及したく考えている。
著者関連情報
© 2015 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top