日本毒性学会学術年会
第43回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-106
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一般演題 ポスター
イヌ末梢血由来単核細胞を用いたin vitro CFU-GMコロニーアッセイ法の検討
*後藤 浩一丸 ちか子後藤 真由美菊池 勇本多 久美森 和彦谷 吉朗高崎 渉
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抄録

 非げっ歯類を用いたin vitroコロニーアッセイは、化合物による骨髄毒性の感受性種差を検討する上で重要なツールであるが、骨髄細胞の採取には採取者の技術を要するとともに、動物への負荷も大きいことから、より簡便に細胞を採取する方法は有用と考えられる。本研究では、イヌ末梢血から採取した単核細胞を用いたin vitro CFU-GMコロニーアッセイ法の検討を行った。雄性ビーグル犬より採血した血液8 mLを、比重1.067 g/mL、1.070 g/mL、1.073 g/mL、及び1.077 g/mLの比重遠心試薬で処理し単核細胞を得た。次に、stem cell factor、GM-CSF、G-CSF、IL-3、及びIL-6を含むメチルセルロース含有培地(MethoCult H4230)に播種し、37℃、5% CO2の条件下で9日間培養後、CFU-GMコロニー数を計測した。その結果、形成されたCFU-GMコロニー数は、それぞれの比重遠心試薬濃度において平均で0個/dish 、3.0個/dish、12.7個/dish、及び3.7個/dishであり、形成されるCFU-GMコロニー数は比重1.073 g/mLで処理した時が最も多かったが、in vitroで評価するには不十分であった。そこで、G-CSF製剤であるフィルグラスチムの30 μg/kg/dayを雄性ビーグル犬に3日間反復皮下投与し(投与開始日をDay 1とする)、投与前並びに最終投与2時間後(Day 3)及び2日後(Day 5)に採取した血液を比重1.073 g/mLの比重遠心試薬で処理し、得られた単核細胞を用いてCFU-GMコロニー数を調べた。その結果、フィルグラスチム投与前では平均3.1個/dish、Day 3で平均33個/dish、Day 5では平均27個/dishであり、Day 3に採血した血液から採取した単核細胞で最もCFU-GMコロニー数が多かった。
 以上、フィルグラスチムの30 μg/kg/dayを雄性ビーグル犬に3日間反復皮下投与し、最終投与2時間後に採取した血液を用いることで、in vitroで評価するのに十分な数のCFU-GMコロニーが形成されることが明らかとなった。

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© 2016 日本毒性学会
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