日本毒性学会学術年会
第43回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-167
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一般演題 ポスター
カニクイザルの血漿中サイトカイン濃度及び末梢血リンパ球サブセットに関する基礎的研究
*高田 俊介岩田 憲明伊藤 志保片岡 広子三家本 慧間 哲生谷 吉朗高崎 渉
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抄録
【目的】抗体医薬品によるサイトカイン放出症候群などの重篤な免疫毒性が問題となっている。本研究では、リスク評価の基盤となるカニクイザルの血漿中サイトカイン濃度及び末梢血リンパ球サブセットの背景データ収集を行い、生物学的ばらつき(個体差、雌雄差、日内採血ポイント間差及び日間差)及び試験操作(生理食塩液投与及び頻回採血)による影響を検討した。
【材料及び方法】無処置または生理食塩液(4 mL/kg)を静脈内投与したカニクイザル雌雄63例(3~4年齢、カンボジア産及びフィリピン産)を用い、投与1、4、7及び24時間後に経時採血し、血漿中サイトカイン測定(IL-1β、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-8、IL-10、TNF-α、IFN-γ、MIP-1β、MCP-1、G-CSF及びGM-CSF)及び末梢血リンパ球サブセット解析(T cell、CD4+ T cell、CD8+ T cell、DP-T cell、DN-T cell、B cell及びNK cell)を実施した。
【結果及び考察】MCP-1及びIL-8を除く11種のサイトカインでは、無処置群の初回採血時(投与1時間後に相当)で半数以上の動物で検出限界以下であった。MCP-1は無処置群の同日内の3回目の採血時には初回採血時と比較して上昇傾向がみられ、頻回採血による影響と考えられた。IL-6及びG-CSFでは無処置群の初回採血時には全例で検出限界以下であったが、無処置群の同日内の2回目以降の採血時または生理食塩液投与群での採血時には定量が可能な動物がみられた。これらの増加には投与操作及び頻回採血による拘束ストレスが影響したと考えられた。また、全てのサイトカインで雌雄差はみられなかった。7種のリンパ球サブセットでは、全例で定量可能であり、個体差以外の明確な生物学的ばらつき及び試験操作による影響はみられなかった。抗体医薬品の免疫毒性をカニクイザルを用いて評価する場合には、これらの特性を考慮して試験成績を考察する必要があると考えられた。
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© 2016 日本毒性学会
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