日本毒性学会学術年会
第43回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-32
会議情報

一般演題 ポスター
デキストラン硫酸ナトリウム誘発マウス潰瘍性大腸炎モデルの検討(第2報)
*木村 恵人美濃部 典子松田 仁美木村 輝理石本 明宏飯高 健
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【背景・目的】潰瘍性大腸炎は大腸粘膜に炎症が生じてびらんや潰瘍を形成する非特異的炎症性腸疾患である。また、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患から大腸がんに進展するとも言われている。演者らは第41回の本学会(2014年)においてデキストラン硫酸ナトリウム水溶液7日間飲水における潰瘍性大腸炎の病態について報告した。今回、デキストラン硫酸ナトリウム水溶液の飲水期間を15日まで延長し飲水期間(飲水11日または15日間)における病態の程度と潰瘍性大腸炎治療薬であるタクロリムスの効果を検討した。
【方法】8週齢のC57BL/6J系雄性マウスにデキストラン硫酸ナトリウム(以下DSS)水溶液(2.5及び3%)を11または15日間自由飲水させた。DSS水溶液投与期間中、体重及び便の状態(下痢と血便の状態)を毎日観察した。飲水期間最終日(11日目または15日目)に採血し、血液学的検査(Hb)及び血中サイトカイン(IL-6、TNF-α)の測定を行った。また、大腸(回盲部~肛門)を摘出し、大腸長及び大腸重量を測定した。タクロリムスはDSS飲水開始日から1日1回経口投与した。
【結果】DSS水溶液の飲水によりいずれの濃度も体重の増加抑制が認められた。血便状態を示す糞便スコアは、DSS水溶液飲水開始7~8日目をピークに高値を示した。DSS水溶液を11日または15日間自由飲水させることで大腸長の短縮ならびに大腸重量は高値を示し、潰瘍性大腸炎の特徴的な症状が認められた。潰瘍性大腸炎治療薬のタクロリムスは、これらの症状の改善を示したが、DSS水溶液の濃度、また飲水期間によって改善効果には差が認められた。既に報告したDSS水溶液7日間飲水おける潰瘍性大腸炎の病態と今回の結果を含めてDSS濃度と飲水期間について総括したい。
著者関連情報
© 2016 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top