抄録
【目的】
硝子体内投与された化合物の眼光毒性評価法を検討するため、可視光領域に吸収波長を持つポルフィリンをウサギの硝子体内に投与し、疑似太陽光を照射したときの眼組織への影響について、種々の眼科学的検査で確認すると共に病理組織学的検査についても実施した。
【方法】
麻酔下のウサギ(日本白色種, 11~12週齢)に生理食塩溶液で溶解した0.1%、0.3%及び1.0%のポルフィリンを20 µL/眼で両眼に単回硝子体内投与し、太陽光シミュレータを用いて照射量が約150 J/cm2となるように擬似太陽光を片眼に2時間照射した。なお、反対眼を非照射眼とした。投与2日後、投与7日後に、スリットランプによる前眼部、水晶体、硝子体の観察、角膜上皮障害性観察、眼底検査及び麻酔下でERG記録、OCT撮影を実施した。また,投与7日後に眼球を摘出し,病理組織学的検査を実施した。
【結果】
日本白色種ウサギの0.3%及び1.0%ポルフィリン投与群の照射および非照射眼に、眼科学的検査においてポルフィリンに起因する後眼部の炎症性変化及びERG振幅の減弱、病理組織学的検査では網膜に限局性の壊死等の変化が認められた。0.1%ポルフィリン群では、眼科学的検査及び病理組織学的検査において、照射眼に0.3%及び1.0%ポルフィリン投与群と同様の変化が認められたが、その程度は軽かった。また、非照射眼に変化はなかった。
【考察】
日本白色種ウサギを用いた当光毒性評価法において、ポルフィリンの光毒性を検出できる用量として0.1%が最適であると考えられた。