日本毒性学会学術年会
第43回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-97
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一般演題 ポスター
In vitro試験系における抗菌剤レボフロキサシンおよび解熱鎮痛消炎剤ロキソプロフェンによる免疫因子の活性化
*中島 晶佐藤 宏樹織田 進吾横井 毅
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抄録
【背景・目的】医薬品の副作用として、スティ—ブンス・ジョンソン症候群 (SJS)や中毒性表皮壊死症 (TEN)のような重篤な皮膚障害が発現することがある。これら疾患は免疫因子が関与する遅延型のアレルギー反応であることが示唆されているが、その発症機序は未だ明らかにされていない。本研究では、ヒト血球系細胞株であるHL-60細胞を用いた in vitro 試験系において、SJS/TENの被疑薬として報告数が多い抗菌剤レボフロキサシンおよび解熱鎮痛消炎剤ロキソプロフェンによる免疫因子の活性化について検討した。
【方法】HL-60細胞にレボフロキサシンあるいはロキソプロフェンを一定時間処置し、細胞を回収後、免疫関連因子のmRNA発現量をリアルタイムRT-PCR法により定量した。SJS/TENの報告数が少ないネガティブコントロールとして、レボフロキサシンの構造類似体であるノルフロキサシンおよびロキソプロフェンの構造類似体であるケトプロフェンを用いた。
【結果・考察】レボフロキサシンあるいはロキソプロフェンの処置によりHL-60細胞において、MCP-1、IL-8、IL-1βおよびTNF-αのmRNA発現量が増加し、さらに、近年SJS/TENとの関連が示唆されているAnnexin A1 mRNA発現量が増加した。また、これら薬物によるMCP-1、IL-8、IL-1β、TNF-αおよびAnnexin A1のmRNA発現誘導は濃度依存的かつ時間依存的であり、処置24時間後に最も強い発現誘導が観察された。ネガティブコントロールであるノルフロキサシンおよびケトプロフェンによるMCP-1、IL-8、IL-1βおよびAnnexin A1の発現誘導はレボフロキサシンおよびロキソプロフェンと比べ弱かった。
【結論】レボフロキサシンおよびロキソプロフェンによる重篤な皮膚障害の発症には免疫因子の活性化が関与する可能性が示唆された。
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© 2016 日本毒性学会
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