日本毒性学会学術年会
第43回日本毒性学会学術年会
セッションID: W2-2
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ワークショップ2 ICH S1がん原性試験ガイドライン改定に係る前向き調査におけるがん原性評価文書(CAD)の中間評価と薬理作用及び標的臓器からみた発がん
S1がん原性ガイドライン改定に向けた前向き評価の目的と経緯
*野中 瑞穂
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抄録
医薬品規制調査国際会議(ICH)においてS1ガイドライン(医薬品のがん原性試験に関するガイドライン)改定のために専門家作業部会(EWG)が2012年6月に設置され、特定の条件を満たす場合に限り、2年間ラットがん原性試験を実施することなく、ヒトにおける発がんリスクについて評価できるとの仮説が提案された。前向き評価により、この仮説が検証された場合には、S1ガイドライン改定が検討される予定である。したがって、EWGにて前向き評価の実施方法を規定した文書Regulatory Notice Document(RND)を作成し、2013年にICH 公式web siteに公表し、2016年1月に改定した。本邦においても「医薬品のがん原性試験に関するガイダンスの改正に係る前向き評価への参加協力依頼の改訂について(協力依頼)」(平成28年2月17日、厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課)に基づき、前向き評価を実施中である。RNDでは、ヒトにおける発がん性なしと予測できるカテゴリー3の検証を重視している。2013年に公表した初版のRNDと比較し、最新のRNDの変更点は以下である。1)カナダとスイスの規制当局が前向き評価に参加すること、2)がん原性評価文書(CAD)提出期間を2017年末までと想定し、前向き評価期間を2年間延長したこと、3)カテゴリー3のCADが20件以上集積されることを前向き評価の数的目標として設定したこと、4)CAD提出企業が、規制当局からの要請に応じてカテゴリー分類の判断に必要な追加情報を提出することを許容したこと、5)CAD提出時点における実施中の2年間ラットがん原性試験の最長経過期間を18ヵ月から2016年6月1日以降は14ヵ月に短縮すること、6)ラット2年間がん原性試験終了時における結果の記載内容を明確化したこと。医薬品製造販売業者の皆様には、上記のRND変更点に留意の上、前向き評価への積極的なご参加をお願いしたい。
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© 2016 日本毒性学会
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