日本毒性学会学術年会
第43回日本毒性学会学術年会
セッションID: W4-2
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ワークショップ4 医薬品リスクのコミュニケーション
医薬品リスク・コミュニケーションの実態
*廣野 喜幸花岡 龍毅定松 淳江間 有沙田中 丹史田野尻 哲郎清宮 健一
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抄録
技術論の観点からすると、コンピュータ用のソフトウェアと医薬品は特異な製品である。少数とはいえある一定の割合で、バグや好ましくない副作用(薬物有害反応)といった「欠陥」を伴うことが前提となっている。リスク論の観点からすれば、医薬品においては、他種の多くの製品でなら単に「不良品」としてひとくくりにされる場合でも、想定外の厄災(=不確実性uncertainty)をもたらす真の意味での不良品と、想定内のリスクをもたらす予定された「不良品」に区分する必要性が生じる。
想定内のリスクであったとしても、できるだけ減らすことが望ましいことは言うまでもない。だとすると、問題は、想定内の薬物有害反応が医薬品の生理作用といったハードに関する要因のみなのか、それとも病者の服薬法といったソフトの問題も一定程度以上の要因になっているのかになるだろう。もし後者が要因として無視しえないとしたら、リスク・コミュニケーションによって、情報を受ける者の医薬品リテラシーを向上させることによって、薬物有害反応による厄災を減らせる可能性がある。
そもそも、他の科学技術リスク・コミュニケーションに比べ、医薬品リスクはコミュニケーション関係者(製薬会社・薬剤師・医師・看護婦・行政・メディア・一般市民)が多いという特徴があり、リスク情報の生成・流通・受信経路すら容易には把握できない憾みがある。そこで、本研究では、関係者の医薬品リテラシーの実態を踏まえた上で、メタ分析的調査・テキスト分析・社会調査等を適宜組み合わせ、医薬品リスク・コミュニケーションの実態調査を試み、改善点があればそれを示唆したい。
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© 2016 日本毒性学会
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