日本毒性学会学術年会
第44回日本毒性学会学術年会
セッションID: O-37
会議情報

一般演題 口演
スルフォラファンによる転写因子Nrf2の賦活化が運動耐容能に与える影響
*小峰 昇一呉 世昶蕨 栄治正田 純一
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】Sulforaphane(SFN)は転写因子Nrf2を活性化し酸化ストレスから保護する作用を持つ.一方,酸化ストレスは,運動耐容能の制限因子となることが知られる.したがってSFNの投与は運動による酸化ストレスを抑止し,運動耐容能を向上させる可能性がある.そこで,本研究ではSFNが運動耐容能に及ぼす影響を検討した.また,そのメカニズムについて糖・脂質・酸化ストレスの観点から検討した.
【方法】12週齢のWT,Nrf2KOマウスを用いた.SFN投与群には運動負荷の72時間前から4回に分けSFNを経口投与した.走運動はトレッドミルを用いて28m/minで疲労困憊まで行った.また呼吸商(RQ),血糖,遊離脂肪酸(FFA)などのエネルギー代謝関連項目,TBARS,筋損傷マーカーを検討した.
【結果】SFNを投与した野生型(WT+S)では骨格筋のNrf2が賦活化し,下流遺伝子であるHO-1,NQO1のmRNAレベルが増加した.WT+SはWTに比して走行時間が延長したが,一方,KO+Sでは変化しなかった.運動開始50分後のRQ,血糖値,FFAには群間の差を認めなかったが,筋損傷マーカーCPK,LDHに関しては,WTに比してWT+Sで抑制された.また,運動18時間後のTBARS値の上昇は,WT+Sのみ抑制された.
【結論】SFN投与によるNrf2の賦活化は,運動が誘導する酸化ストレスを抑止し,筋損傷を抑制することで運動耐容能を向上させる可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2017 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top