日本毒性学会学術年会
第44回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-101
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一般演題 ポスター
マウスを用いたファーマコキネティクス試験及び反復投与毒性試験におけるマイクロブラッドサンプリング(MBS)法の適用
*岩波 智徳水落 正慶西口 有美小松 弘幸江田 景高尾 みゆき久保田 貴之門田 利人寺村 俊夫秋江 靖樹
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抄録
【目的】マイクロブラッドサンプリング(MBS)法は,ごく少量の血液から薬物濃度の測定が可能であり,これをマウス試験に適用できれば,使用動物数の削減につながり,3Rsへの貢献が期待できる.我々は今回,マウスを用いてMBS法により血中薬物濃度を測定すると共に,採血頻度が血液学的検査及び血液生化学的検査に与える影響の検討を行い,マウスからの頻回採血方法を確立した.
【方法】雄性ICRマウスを用いて,クラリスロマイシン200mg/kgを単回経口投与し,投与前及び投与後1,2,4,8,24時間の計6時点に,それぞれ頸静脈より約30µL採血した.その後,血漿中のクラリスロマイシン濃度をLC/MS/MSで測定した.群構成は,採血を実施しない群(対照群:1群,N=5),同一動物から6時点の採血を行う群(頻回採血群:2群,N=3)及び2匹1組で動物を入れ替えて,各動物3時点ずつ採血を行う群(スパース採血群:3群,N=6)を設定した.投与後24時間の採血終了後,全群で血液学的検査及び血液生化学的検査を行い,各群の結果を比較した.
【結果】血漿中薬物濃度は,2群と3群でほぼ同様の推移を示した.血液学的検査及び血液生化学的検査では, 1群と比較して,2群及び3群でRBC,Ht及びHbの低値が,2群のみにLDHの高値が認められた.3群で認められた赤血球系の低値は背景データの許容範囲であったため,スパース採血がより適切な方法と考えられた.トランスジェニックマウス等の希少動物を用いたファーマコキネティクス試験では,使用動物数を抑えるために同一動物からの頻回採血も選択肢の一つと考えられることから,採血回数の制限などを考慮する必要がある.現在,マウス4週反復投与毒性試験において初回投与時5時点,最終投与時6時点の頻回採血をスパース採血で行い,血液学的検査及び血液生化学的検査に与える影響について確認中であり,合わせて報告する.
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© 2017 日本毒性学会
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