日本毒性学会学術年会
第44回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-149
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一般演題 ポスター
サルのゲンタマイシン腎障害モデルにおける臨床バイオマーカーL-FABPと新規腎障害バイオマーカーの評価
*鈴木 慶幸小松 弘幸江田 景高尾 みゆき久保田 貴之相良 聡美門田 利人菅谷 健秋江 靖樹武田 正之
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抄録
【目的】これまでに我々は,体外診断薬として本邦及び欧州で認可されている尿中L-type Fatty Acid Binding Protein(L-FABP)に着目し,ラット及びイヌの腎障害モデルにおいて尿中L-FABPが有用な腎障害バイオマーカーであることを報告してきた.今回,我々は,アカゲサルのゲンタマイシン(GM)腎障害モデルを用いて,尿中L-FABPと新規(NGAL,Kim-1)及び既存(総タンパク,NAG)の腎障害BMの変化を比較検討した.
【方法】雌性アカゲサル4例にGMを50 mg/kg/dayで10日間反復皮下投与して腎障害を誘発させた後, 14日間の回復期間を設けた.その間、経時的に採尿及び採血を行い,血中(BUN,血清クレアチニン)及び尿中腎障害BMを測定した.動物は10日間反復投与後(n=2)及び14日間の回復期間後(n=2)に剖検し,腎臓の病理組織学的検査を行った.
【結果】アカゲサルにGM腎障害を誘発させた結果,血中腎障害BMは7回もしくは10回投与後から上昇傾向を示す一方で,尿中L-FABP及び他の尿中BMは4回もしくは7回反復投与後に急激な上昇がみられた.加えて,GM投与後0-6時間尿で尿中L-FABPは上昇を示した変化は,これまでに報告したラット及びイヌのGM腎障害モデルでの変化と同様であった.L-FABPの上昇と病理組織学的検査における近位尿細管の硝子滴,壊死及び再生などの障害の程度は一致していた.
【考察】サルGM腎障害モデルにおいて,尿中L-FABPが腎組織障害に応じて上昇したことから,尿中L-FABPがサルにおいても有用な腎障害BMとなることが示唆された.ラット,イヌ及びサルのゲンタマシン腎障害モデルにおいて同様な変化を示したことから,尿中L-FABPは幅広い動物で使用可能な,非臨床試験における有用性の高いBMであると考えられる.
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© 2017 日本毒性学会
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