日本毒性学会学術年会
第44回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-150
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一般演題 ポスター
The future of drug safety assessments: 人工的学習モデルを用いた心血管系評価
*原田 拓真Carrie A NORTHCOTTDenis VITROVJill STEIDL-NICHOLSDaniel ENG
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抄録
臨床試験で心血管所見が認められると臨床試験が遅延または中止するなど薬物開発に大きな影響を与え,事実,多くの開発化合物が心血管系の副作用により開発が中止されている。一方,近年,コンピュータを用いた学習モデルが進歩しつつあり,非臨床試験あるいは臨床試験における心血管系データを利用し,薬物開発の意思決定および開発後期での開発中断,さらには臨床成績の改善に人工的学習モデルを使用することが試みられてきている。我々はまず,心血管系評価に関する人工的学習モデルを用い,大動物(イヌおよびサル)のin vivo非臨床試験データ(79化合物,10治療領域)が臨床第1相試験(ヒト)での血圧と心拍について良好な予測性を示すことを示した(特異度[真の陽性率79%],感度[真の陰性率78%])。この人工的学習モデルでは,すべての動物試験で同様の方法を用いることで試験間の偏りを軽減し,大動物の試験および臨床第1相試験でみられた血圧・心拍数の変化ならびに投与用量,タンパク非結合型Cmaxを変数として用いた。次に,20および15ノードの2階層から成る人工知能のニューラルネットを構築し,最高無作用量および最低作用量のデータを用いてデータを解析した。16化合物でテストしたところ12化合物については正確に予測できた(感度60%,特異度82%)。さらに,123の所見を入力した人工的学習モデルを作成し34化合物について解析したところ,特異度96%,感度81%の予測性が得られた。以上の心血管系所見を予測する人工的学習モデル構築の試みは極めて単純なものであるが,臨床試験での心血管系所見に対する非臨床からの予測性を改善するためには,引き続き人工的学習モデルを検討・改良していくことが有用であると考えられる。
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© 2017 日本毒性学会
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