日本毒性学会学術年会
第46回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-169
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ポスターセッション
オーラルケア用途原料を用いたヒト3次元培養口腔粘膜モデルによる口腔粘膜刺激性試験の評価条件設定に関する検討-3社共同研究-
*相澤 聖也吉田 秀徳梅下 和彦渡辺 真一高橋 豊坂根 慎治坂口 斉吉田 浩介
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抄録

【背景と目的】オーラルケア製品及び原料の安全性評価において、口腔粘膜刺激性は重要項目の1つである。in vitro試験法としてヒト3次元培養口腔粘膜モデルを用いる方法が知られているが、我々はその毒性指標である細胞生存率とin vivo試験における無刺激~中等度の口腔粘膜刺激との相関性について施設間で検討し、有用性を示してきた1)。本研究では、オーラルケア製品への配合原料5種を用い、曝露時間(60分、120分)ごとにin vitro試験における細胞生存率とin vivo試験における口腔粘膜スコアとの相関性を検討した。

【方法】in vitro試験には、ヒト3次元培養口腔粘膜モデルEpiOral TM(MatTek社製)を用いた。オーラルケア製品への配合原料の中から、in vivo試験2)で無刺激~中等度の刺激に分類される原料を検体として選定した。前培養したモデルに検体を適用し、60分もしくは120分曝露後、検体をPBSで洗浄除去した。各曝露時間の細胞生存率をMTTアッセイで算出し、in vitro細胞毒性とin vivo試験での口腔粘膜刺激強度との相関性について検討した。

【結果】60分曝露の場合と120分曝露の場合との両方で、in vitro - in vivo間に相関性が認められた。その上で、120分曝露ではin vivo口腔粘膜刺激スコア1を評価できた。また、曝露時間を短縮することでin vivo口腔粘膜刺激スコア2以上を評価できる可能性が示唆された。曝露時間を使い分けることにより、ヒト3次元培養口腔粘膜モデルで口腔粘膜刺激を区分できる可能性が見出された。この他に、毒性指標である細胞生存率と生存率が半減するまでの所要時間ET50(Effective response Time to 50% of test organisms)との相関性、及び刺激性と非刺激性とを区別するクライテリア設定についても検討したので、合わせて報告する。

1) 相澤ら,日本動物実験代替法学会第31回大会, 熊本(2018), P-74

2) Nakamura. et al., J. Jpn. Cosmet. Sci. Soc. vol.18, no.1, 1-5 (1994).

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© 2019 日本毒性学会
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