日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-182
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STE法における希釈溶液の眼刺激予測性―毒劇物取締法における劇物指定除外への適応―
*行 卓男安保 孝幸許 睿高橋 豊坂口 斉
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抄録

 Short Time Exposure(STE)法はin vitro眼刺激性試験法であり、TG491として経済協力開発機構(OECD)の毒性試験ガイドラインに収載されている。これまでに、STE法による原体の眼刺激性予測性が高いことを報告してきた。今回、希釈溶液の予測性について検討した。49種の希釈溶液をSTE法に供したところ、刺激性(Category 1、Category 2)、非刺激性(No Category)の予測において、一致率76.9%、感度100%、特異度57.1%であった。このことから、STE法は希釈溶液に対しても過小評価することなく高い眼刺激性予測性を有することが確認された。

 昨年、毒劇物判定基準の改定がなされ、劇物指定の除外において動物実験代替法の活用が可能となった。そこで、劇物に判定された物質の製剤配合濃度における劇物指定を除外するに当たり、STE法の有用性について検討した。眼粘膜に対する刺激性が強いため劇物に判定された6物質、ならびに、その希釈により劇物指定除外された製剤6物質をSTE法に供した。その結果、劇物6種は全て刺激性と判定された。劇物除外された希釈溶液は6品中3品で刺激性、3品で非刺激性と判定され、STE法のprediction modelにおいてCategory 1と分類されたものはなかった。

 すなわち、STE法は希釈溶液に対しても高い予測性能を有しており、希釈による劇物指定の除外においても有用であると考えられた。また、STE法で非刺激性と判定されることにより劇物除外が可能であると考えられた。

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