日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-232
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ラットにおける心拍変動解析による自律神経活動の評価
*長尾 友子池田 博信伊藤 昭人山本 真史飯高 健
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抄録

【背景】心臓の拍動は交感神経と副交感神経の両方から調節されている。心拍の周期変動の周波数成分をパワースペクトル解析し低周波成分(LF:Low Frequency)と高周波成分(HF:High Frequency)に分けた時、LF成分は交感神経活動と副交感神経活動両方の影響を受けて形成され、HF成分は主に副交感神経活動の影響をより多く受けるとされている。また、両者の比をとった指標(LF/HF比)は交感神経活動の指標として用いられている。そこで、我々は血圧の脈波から心拍変動の周波数解析を行い、交感神経の活動又は副交感神経の活動を数値化した。さらに、薬剤投与後のLF成分及びHF成分を求め、自律神経の活動を捉える事が可能か検討した。

【方法】テレメトリー送信機(HD-S10、DSI社)を埋め込んだ雄性SD系ラットの血圧を無麻酔・無拘束下で24時間以上連続測定した。血圧脈波から心拍変動の周波数成分をパワースペクトル解析し、LF成分(0.04~0.6 Hz)とHF成分(0.6~2.4 Hz)のパワー値ならびにLF/HF比を求めた。無処置でHF成分及びLF/HF比の明期と暗期の差を確認した後、媒体及び自律神経系に作用する薬剤を投与した。

【結果】明期は暗期に比べHF成分が多く、LF/HF比は低い傾向を示した。交感神経作動薬のフェニレフリン単独投与ではLF/HF比が増加し、副交感神経遮断薬のスコポラミン単独投与はHF成分の減少が認められた。また、交感神経β受容体遮断薬のナドロールと交感神経α受容体遮断薬のフェノキシベンザミン併用投与ではLF/HF比の減少が認められた。

【考察】ラットに自律神経に作用する薬剤を投与した際の交感神経活動及び副交感神経活動の変化を、心拍変動解析によって求めた。その結果、HF成分ならびにLF/HF比を指標として自律神経の活動を捉える事が可能であった。

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