日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-231
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一般演題 ポスター
マウス血液の血球算定におけるクエン酸Naの影響の検討
*伊藤 格今泉 隆人安藤 次郎内藤 愛金原 智美早川 浩太山田 鉄矢佐久間 隆介久保田 友成長瀬 孝彦
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抄録

【目的】マウスでは採血量に限度があることから、一般毒性試験において、クエン酸Naを用いる凝固系を省略または別個体で実施してきた。そこで、クエン酸Na血液とこれまで血球算定を実施してきたEDTA-2K血液あるいはヘパリンNa血液との算定値の比較を行った。

【材料および方法】イソフルラン麻酔下で、10週齢のCrl:CD1(ICR)マウス雌雄各10例の腹大動脈から、EDTA-2K血液(血液 [27]:100 mg/mL EDTA-2K水溶液 [1])、ヘパリンNa血液(血液 [27]:ヘパリンNa注射液 [1])あるいはクエン酸Na血液(血液 [9]:3.2%クエン酸Na [1])を採取した。さらに、クエン酸Na血液を採取した後に、注射筒を換え、抗凝固剤処理をしていない血液を採取した。また、ヘパリンNa血液あるいはクエン酸Na血液の一部をEDTA-2Kコーティングチューブに入れ、EDTA-2K混合血液とした。血液学的検査及び血液生化学的検査(クエン酸Na血液を除く)を実施し、測定値を希釈率で除して補正した。

【結果】クエン酸Na+EDTA-2K混合血液の血球算定では、EDTA-2K血液と比較して同一項目において雌雄両性で有意差は認められなかった。よって、クエン酸Na+EDTA-2K混合血液は希釈補正することにより、血球算定を実施可能であった。一方、EDTA-2K血液の凝固系の値は、クエン酸Na血液と比較して有意差が認められ、ヘパリンNa血液は、測定不能であった。また、EDTA-2K血液あるいはヘパリンNa血液の血漿を用いた血液生化学的検査では、血清と比較して有意差が散見された。したがって、クエン酸Na血液を採取後、抗凝固剤処理をしていない血液を採取することで、ガイドラインに記載された一般毒性試験の全血液検査項目を同一個体で測定することが可能である。

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