日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: S1-1
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シンポジウム1
毒性関連ビッグデータを用いた人工知能による次世代型安全性予測手法(AI-SHIPS)の開発にむけて
*庄野 文章
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抄録

 機能性化学物質は、IoTに密接に関わる高性能電池や次世代半導体等のイノベーションの源泉であり、このような我が国の強みであるものづくり分野を支える機能性化学物質をいかに迅速に、効率的に開発するかが我が国産業の競争力強化に向けた課題である。一方、機能性と毒性は不可分であり、機能性化学物質の開発段階から安全性を効率的に評価していく必要がある。現在、化学物質の研究開発コストの削減のため、および動物愛護の観点から、欧米では動物を使った従来の毒性試験に替わる試験(インビトロ試験及びインシリコ手法)の開発が進展している。本プロジェクトでは、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」に基づき40年間にわたり蓄積された質の高い動物実験データを用いて、人工知能技術や毒性学の最新の研究成果を活用して、既存の(定量的)構造活性相関((Q)SAR)やその他類推法では適用できない領域をカバーし、信頼性の高い機能性化学物質の毒性予測手法を開発することを目的としている。これにより、化学物質の研究開発費の20%を占めるとされる安全性評価に係るコストの大幅な削減、および開発期間の大幅な短縮が可能となる。このように安全性評価の効率化を図ることにより、機能性化学物質の開発を促進し、我が国の機能性材料やこれらを使った製品の開発力、提案力の向上が期待できる。

 この研究開発目標を達成するため、2017年度からAI-SHIPSがスタートした。研究項目は以下の通り。

① ‌毒性発現メカニズムに基づく毒性評価技術の開発

  ‌(a) 薬物動態モデル等を活用した化学物質の体内動態評価技術の開発

  (b) 細胞の化学物質応答性評価を基盤とする毒性評価技術の開発

② ‌人工知能を活用した予測モデルの開発(生体レベルでの毒性評価・予測を実現する情報技術の開発)

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© 2018 日本毒性学会
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