日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: EL3-2
会議情報

教育講演
ガイドライン化を目指したin vitro試験系導入の具体的な留意点
*小島 肇
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

 化学物質等の安全性試験の公定化(標準化)の手引書としては、2005年に発行された経済協力開発機構(OECD: Organisation for Economic Co-operation and Development)のガイダンス文書(GD: Guidance Document)No.34:The Validation and International Acceptance of New or Updated Test Methods for Hazard Assessmentが著名である。医薬品規制調和国際会議(ICH: International Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use)においても、ガイドラインへの新規試験法採用時に参考とされる文書である。この文書の中には、動物の使用の有無を問わず、新規試験法が公定化されるにはバリデーション研究や第三者評価を経なければいけないとされている。バリデーション研究の過程で、再現性と予測性を重視した試験法が評価される。特に予測性においては、バリデーションの過程で適用範囲が明確になり、偽陰性を限りなく少なくしたプロトコルに洗練される。バリデーション研究において留意すべき点は、実行する組織に試験法開発者、実験参加機関に加え、毒性の専門家、バリデーション研究の専門家、統計学者を加えることであり、できれば国際的な実施機関や専門家を組織に加えることが望ましい。その構成員が適切な被験物質数と候補物質を選択し、コード化して配布すること、GLP原則に則りデータの信頼性を担保すること、得られた結果を統計学的に解析し適切な予測モデルを確立することがバリデーション研究成功の秘訣である。これらを誤ると、試験法の再現性や予測性は適切に評価できない。試験法開発者にはバリデーション研究の過程で、プロトコルを柔軟に改訂する心構えが必要となり、最新のプロトコルに準じた100以上の物質によるデータベースを持つことが求められる。これらの結果が国際的な第三者評価グループに評価されて、試験法は公定化されるルートに乗ることになる。プロトコルやSOPに記載されている数値や条件はすべて裏付けがあり、それを第三者が確認していることが試験法の公定化には重要である。

著者関連情報
© 2018 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top