日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: S21-3
会議情報

シンポジウム21
総合的試験戦略における予備的な発生毒性試験
*和泉 祐子
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

 ICH M3(R2)では,妊娠可能な女性を臨床試験に組み入れる場合には胚/胎児発生に関する試験(EFD試験)を実施しておく必要が述べられている(但し,米国では第Ⅲ相試験の前までに実施しておけばよい)。しかしながら,何らかの理由で臨床開発を断念せざるを得ない開発候補品は少なくはなく,ラットやウサギを多数用いて実施したEFD試験が製造販売承認申請に利用されない場合もある。動物福祉と臨床試験における安全性の確保を勘案すると,発生毒性に関しては比較的管理された初期の臨床試験は小規模な予備試験(preliminary EFD:pEFD試験)によって,大規模な臨床試験あるいは上市後は現行の本試験(definitive EFD試験)によって,安全性が確保されることが望まれる。これに対応してM3 (R2)では、比較的短期間(最長3カ月)かつ妊娠を回避する予防措置が取られる場合,適切にデザインされた予備的な試験を実施することによって妊娠可能な女性(最大150人)の臨床試験に組み入れが可能とされた。この「予備的な発生毒性試験」は厳格な避妊措置がとられる臨床試験への女性の組み込みを前提に,“発生毒性のほとんどが検出可能な試験”という目的に沿ってデザインされている。一方ICH S5(R3)改定案の総合的試験戦略においては,M3(R2)で付された制限を設けず,第Ⅱ相試験までの発生毒性評価を可能とする「拡充型pEFD試験」が示されようとしている。

 本項では,S5(R3)改定案における総合的試験戦略で示されている拡充型pEFD試験の導入目的から試験デザインを理解し,戦略的意義を考える。

著者関連情報
© 2018 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top