日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: S23-3
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シンポジウム23
遺伝毒性評価のためのin vivo試験実施戦略
*森田 健
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抄録

遺伝毒性評価におけるin vivo試験結果の評価は極めて重要である。結果の陰性妥当性やin vitro陽性時のフォローアップ(FU)試験としての妥当性など、特に規制観点からの話題を、IWGTで議論された内容を中心に紹介する:1) Ames陽性のFUとして、トランスジェニック遺伝子突然変異試験(TGR)に代えてのin vivoコメット試験の利用。Ames陽性発がん物質の検出性は、肝臓と消化管ではTGRとコメットで同等であったが、骨髄ではTGRが高かった。IARC発がん物質の検出性は、TGRとコメットで同等であった。TGRに代えてのコメット利用の可能性が示唆された。2) In vitro小核陽性のFUとして、骨髄小核および肝臓コメットに加えての接触部位コメットの必要性。解析対象物質の85%が骨髄小核と肝臓コメットの組合せで陽性に検出された。ルーチン評価として接触部位コメットは不要との意見が大勢を占めた。3) 経口投与での接触部位コメットにおける消化管部位の選択。解析対象物質の80%が複数の消化管部位(腺胃/十二指腸/空腸)で一致した結果を示し、複数の消化管部位での試験は必要ないと判断された。4) 腹腔内投与の適用。標的臓器曝露への懸念から腹腔内投与を当局から求められたケースがあるが、小核試験による比較検討で、腹腔内投与が経口投与よりも優れているとの証拠はない。特別な理由がない限り生理的に妥当な経路を用い、リスク評価にはそのような試験の知見に重みを置くべきとされた。5) 標的臓器の曝露証明のための血中濃度測定の妥当性。EFSA(案、2017)の見解では、血中濃度測定は骨髄曝露の“間接的証拠”とし、証拠の重みづけ評価が必要とされた。定量的曝露比較から、血中濃度測定は骨髄や他の組織の曝露証明に利用可能で、肝臓など他の全身性組織は、血液/骨髄よりも高い濃度で曝露されることが示された。

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© 2018 日本毒性学会
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