日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: S23-2
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シンポジウム23
Ames試験の再評価とin silico予測の進歩
*羽倉 昌志
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抄録

 細菌を用いる復帰突然変異試験(Ames試験)は,化学物質のDNA反応性を簡便で高感度に検出できるin vitroの遺伝毒性試験であり,発がん物質のスクリーニング試験として汎用されている。Ames試験は開発されてから約45年が経ち,OECDガイドライン(471)をはじめ,様々な遺伝毒性試験のガイドラインに採用されている。最近では,高価な化学物質,不純物や代謝物など少量しか用意できない被験物質についても遺伝毒性の評価ができるよう,ミニチュアAmes試験のOECDガイドライン化を目指す動きもある。最新の科学的知見や蓄積データに基づいて,その他の遺伝毒性試験のOECDガイドラインは,最近,新規に作成あるいは改訂されているが,Ames試験のOECDガイドラインはこの20年ほど改定されておらず,他のOECD遺伝毒性試験ガイドラインと比べて記載内容が不十分であり,改訂の要望が高まっている。

 昨年11月に第7回IWGT(International Workshops on Genotoxicity Testing)の対面会議が開催され,ワークショップの一つとして「Ames試験の再評価とin silico予測」について議論された。そこでは,Ames試験に関する最新のデータ解析結果や新知見が紹介され,ガイドラインへの掲載の妥当性を含め,菌株の見直し,試験習熟度の評価,試験成立基準,試験結果の評価基準,試験実施方法についての指針について議論された。一方,最近のAmes試験のin silico予測とその支援ソフトの進歩は目覚ましく,DNA反応性不純物に関するICH M7ガイドラインでもその利用が約2年前に認められている。対面会議後も議論は現在も続いているが,本シンポジウムではIWGTで議論されたAmes試験の再評価についての内容とin silico予測の進歩とその活用法ついて紹介する。

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