日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: S3-3
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シンポジウム3
企業のグローバル化から考える
*福井 英夫
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抄録

武田薬品では、Global Drug Safety Research Evaluation部門でDrug Safety Therapeutic Area Lead for GIとして全ての消化器病治療薬の毒性評価を担当し、2015年に逆流性食道炎治療薬であるpotassium competitive acid blocker Vonoprazan (日本名:タケキャブ)の上市に貢献した。武田薬品がグローバル化する過程で、毒性担当として海外及び国内開発に携わってきた経験から学んだことを纏めて発表したい。非臨床安全性試験は、一般毒性、遺伝毒性、生殖発生毒性、がん原性、安全性薬理等、多種多様な試験から成り立っている。それらを最速かつ同時並行的に遂行するために各専門家がチームを組み、各自の能力を最大限に発揮することで高い相乗効果を生み出してきた。農耕民族的精神に裏付けられた奉仕の精神が機能する内資系企業の強みと言える。しかし現在は、日本人だけ、あるいは内資系企業一社だけで医薬品を開発するには困難な時代になった。その理由は、多岐に渡る開発化合物(低、中、高、メガ分子)、高騰する研究開発費、及び日本市場だけでは期待薄な持続的成長である。多くの内資系企業は急速にグローバル展開する道を選択した。研究開発におけるグローバル化を成功させるためには日本人研究者は外国人研究者との発想の違いを理解する必要がある。グローバル企業でトキシコロジストにも要求される条件について説明する。各種治療領域での開発化合物のNDA&INDを数多く経験すること、及びPhD, 認定トキシコロジストあるいは英語などの資格を取得することにより、実績に裏付けられた自信を持って活躍できる。開き直りの心を持って、変化の波にすばやく適応することがトキシコロジストにも必要な時期が到来している。

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