日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: S3-2
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シンポジウム3
海外CROでの勤務経験から考える
*角崎 英志
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抄録

 医薬品開発は国際化の一途を辿っており、非臨床開発も例外ではない。日本国内の製薬企業においても海外の受託研究機関(CRO)への委託は日常となっている。一方で、言語をはじめとする様々な違いにより、委託案件の紹介段階、契約、試験実施中のモニタ、試験報告にいたる場面で思うに任せない状況が発生しているのが現況であろう。今回の発表は、米国CROでの勤務経験に基づき、日本と米国の典型的な違いの具体例を提示し、理解の一助となることを目的とする。

 GLP運営体制で日本と大きく異なる点は運営管理者の考え方である。日本は個人としての運営管理者がGLP組織の全責任を基本的に担う。米国ではGLP運営管理はチームとして運営されるケースがほとんどであり、数名のチームで運営管理者としての機能を果たすことになる。これは2016年にFDAから公開されたProposed Final Rule of GLPに運営管理に関してtesting facility management with executiveという再定義がなされていることからも理解できる。QAUはその独立性を厳格化するため、GLP組織というより会社組織のトップに直接レポートすることが推奨される。業務はJob descriptionによって細分化され、権限委譲されている。例えば、試験責任者は計画段階で専門分野の試験計画・実施・報告の責任を同一GLP組織または外部GLP組織の個人へ権限委譲できる。

 本編では、日本中心に働いてきた学会員諸氏に「違い」は多様性と深く連関していることを理解頂く実例をさらに紹介する予定である。今後の海外CROとの協働推進と我々の振り返りの一助になれば幸いである。

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