日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: S6-1
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シンポジウム6
ナノ材料商業化におけるナノ安全性と規制及び法的問題
*鶴岡 秀志Ilise L FAITSHANS
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抄録

20年以上にわたるナノ材料の毒性研究から、ナノ材料の毒性の分類について新しいアプローチが検討されている。2017年9月に発表されたProSafe白書は、データの品質と管理を標準化することにより、ナノ物質の規制を欧州化学物質規制REACHに組み込むことを提案している。2017年12月末に発表されたEU-USロードマップNano Informatics 2030も規制案を立案することを求めている。しかし、結果の解釈に関するコンセンサスの欠如と実際の測定方法(In-Silicoモデル)に関して測定方法の標準化は議論の余地を残したままである。他方、最新のCNTを使用してStanton-Pott仮説を検証するための研究が鋭意研究されている。しかし、規制面では、この研究の結果は、通常、ナノマテリアルの規制の基礎を提供する基準またはベンチマークの作成には不十分である。また、長年の間、予想であったStanton-Pott仮説の検証を最新のCNTを使って未検証範囲の検討が行われている。他方、規制側の立場から科学的に立法に適用できる基準 (Benchmark) の構築を求める声が産業界とStakeholderから上がっている。欧州提案ではバルクとナノの分類の撤廃を求めることが提案されている。科学と規制と法的リスクを総合的に検討しなければならない時期に来ていることは確かであるが、この複合問題を明快に論じることができる専門家は稀で指針のアドバイスをうけることは容易ではない。本講演では、2月に来日講演された米国ニューヨーク州弁護士および毒性学博士で欧州ナノ規制のアドバイザーをしているDr. I. Faitshans氏のナノテクと法律に関する著書(4月刊行)の編纂に関わったことを下に、Safe Nanoと法律の観点から毒性学の貢献を論じる。

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© 2018 日本毒性学会
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