日本中毒学会と日本毒性学会では理事会レベルを含めた相互交流が続いていたが、それが希薄となった時期がしばらく続いた。しかし、地下鉄サリン事件を契機に両学会の連携の重要性が再認識され、第38回日本毒性学会学術年会(2011年7月11日~13日パシフィコ横浜、年会長:眞鍋 淳先生において日本中毒合同シンポジウムを開催する運びとなった。タイトルは、「コリンエステラーゼ阻害物質による遅発性の中枢神経毒性-サリンの臨床から学ぶ動物モデルの機構解析」であり、黒岩幸雄先生(リカバリー・サポートセンター)、石松伸一先生(聖路加国際病院・救急救命センター)、長尾政宗先生(広島大学・法医学研究室)、朝倉雅登先生(井上眼科病院)、及び種村健太郎先生(国立衛研・毒性部)を演者として迎え、サリン被害者の実態、特に後遺症或いは慢性症状と、それを裏付ける可能性のある動物実験との対比が行われた。以来、欠かさず相互に合同企画を重ね、2014年12月に両学会の交流促進のための覚書を交わすことが出来た。その線上の一大イベントとして、今回、同時期同所開催という交流深化の機会を両学会、特に両年会長の多大なる尽力により実現の運びとなった。今まで合同シンポジウムの演者間での交流が主体であったところを、両学会の参加者全体での交流に拡大する契機となれば、交流を推進してきた両学会連携委員会としても幸甚である。本合同開催学会において、新たな交流ニーズが発掘されることが、連携担当として大いに期待されるところである。
7月20日9:20からの連携記念式典に引き続き、9:40から杉田学先生による連携記念講演会、10:30からはドーピングに関するシンポジウムと合同企画が続く。両学会員の多数の参加をお願いする次第である。