日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: W2-1
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ワークショップ2
マイクロサンプリングに関する行政動向と今後の展望
*斎藤 嘉朗齊藤 公亮
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抄録

近年の分析機器等の性能向上により、少量の採取(マイクロサンプリング)を行った血液等を用いて、薬物動態を評価する手法が発展している。トキシコキネティクス(TK)試験用のサテライト動物数を減らして動物福祉の向上に貢献すると共に、個体単位での毒性と薬物動態の同時評価が可能となることから、その適用が期待されている。

このような状況において、2014年12月に、非臨床試験におけるトキシコキネティクス(TK)に関するS3AガイドラインのQ&Aとして、マイクロサンプリングに関する記載案を作成するICHワーキンググループが立ち上がり、議論が開始された。2016年5月にStep 2案が公表され、パブリックコメントの募集が日米欧等で行われた。その意見を反映した改訂案が2017年11月のジュネーブにおけるICH総会にて承認され、最終化した。本Q&Aは、TK評価におけるマイクロサンプリング手法の利用促進を目的したもので、7つの項目より成っており、それぞれ1) マイクロサンプリングの定義は何か?、2) マイクロサンプリングのベネフィット/利点は何か?、3) どのような種類の医薬品及びどのような種類の安全性試験にマイクロサンプリングを利用できるか?、4) TK試験にマイクロサンプリングを適用する場合の留意点は何か?、5) マイクロサンプリングでは,どのような血液採取法が使用できるか?、6) 主試験群における毒性データや動物福祉に対する採血の影響の評価方法は?、7) 液体または乾燥試料の処理に関する生体試料中薬物濃分析法開発やバリデーションにおいて考慮すべき点は何か?、である。今後、日本語訳案とパブリックコメントへの回答案を作成し、厚生労働省に提出する予定である。

本講演では、Q&Aの紹介、欧州等での利用事例、さらに技術指針作成に関する演者らの取り組みについて述べる予定である。

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