日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: W2-2
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ワークショップ2
マイクロサンプリングに関わるトキシコキネティクス評価の分析技術における課題(JBF DG2017-29研究活動結果報告より)
*二橋 陽一郎大道 浩三原田 智隆山本 鉄斎中井 恵子斎藤 嘉朗家木 克典
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抄録

生体試料中の薬物やバイオマーカー等を分析するための試料採取を小スケールで行うマイクロサンプリングは,申請のための医薬品開発や臨床の場面で利用可能な技術として知られている.2016年に発出されたマイクロサンプリングに関する日米EU医薬品規制調和国際会議 (ICH) S3A (トキシコキネティクス) Q&A案が2017年11月にStep 4に到達して最終化されたことから,特にトキシコキネティクス (TK) 評価でマイクロサンプリング技術を利用することに国内の製薬企業や医薬品開発業務受託機関 (CRO) の関心が高まってきている.

Q&Aでは,マイクロサンプリングは従来よりもごく微量の血液 (50 µL以下) を採取する方法と定義されており,微量の血液を扱うことに付随するTK評価に関する問題点についても言及されている.

バイオアナリシスフォーラム (JBF) は,バイオアナリシスの発展と課題解決のために国内の産官学のバイオアナリシス関係者より構成された団体であり,その活動の一つとしてディスカッショングループ (DG) を運営し,国内の関係者にバイオアナリシスに関する諸問題を議論する場を提供している.2017年度のDG (JBF DG2017-29) は,規制下の試験にマイクロサンプリングの適用を考えている製薬企業やCROに向けて,具体的な対応例を含む情報を提供することを目的として,2015年度及び2016年度に引き続き活動を継続し,「wet (血漿) 試料をLC/MSで分析する」ことを前提に,以前からの継続議論が必要な項目あるいは意見がわかれそうな項目として,「試料の適切な希釈」「試料の保管」「マイクロサンプリングへ変更することに伴うパーシャルバリデーション」「抗凝固剤の影響」「ピペット操作による真度・精度に与える要因」に絞って議論を進めてきた.本発表においては,Q&A (案) において提示されているTK評価に関する項目及びマイクロサンプリングを実践するうえで分析者が直面する課題について,3年間のDG活動を通じて得られた知見を展開する.

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© 2018 日本毒性学会
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