医療機器の生物学的安全性評価は、国内申請においては「医療機器の製造販売承認申請等に必要な生物学的安全性評価の基本的考え方について」(薬食機発0301第20号、平成24年3月1日)に従い実施します。日米欧三極の調和が図られるようになっているとはいえ、本邦と海外のガイダンスは完全に一致しているわけではありません。海外への申請も考えると、ISO 10993-1(2009)やFDA guidance(2016)などを踏まえ、「最終製品での試験が必須か」、「試験液の調製条件は」、「用いるべき試験法は」等々、いくつかの観点について熟慮した上で、最大公約数的な方法を設定するなど、効率的な試験実施計画が必要になります。
薬食機発0301第20号では、試験法による感度や定量性などの相違や、試験液の調製法による偽陰性を招く可能性などを指摘した上で、特に細胞毒性試験、感作性試験、遺伝毒性試験などに関して特別な留意点が示されています。
また、いずれのガイドラインも最終製品での試験が基本ですが、最終製品へのこだわりの強さには三極で若干の相違があります。得られた試験液の試験系への適用前処理(遠心、ろ過など)にも相違が認められます。血液適合性試験の比較対照に用いる医療機器は、それぞれの国での既承認品であることが求められています。
三極での生物学的安全性試験は、いずれもGLP基準での実施が基本です。しかし、国内で登録認証機関による認証対象の医療機器は、非GLPでの試験でも問題ないことになっています(高度管理医療機器を除く)。本邦で認証を取得後に海外申請を考えた場合、再度GLP基準での試験を実施することになることも想定されます。
限られた時間ですが、いくつかの例を示しながら、生物学的安全性試験に関する国内外の相違について紹介します。