日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: W2-3
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ワークショップ2
マイクロサンプリング採血の非臨床毒性試験への適用可能性検証
*服部 則道
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抄録

 分析技術の向上に伴って、微量の血液検体によるトキシコキネティクス(TK)評価が可能となりつつある。2017年11月には、「Questions and Answers: Note for Guidance on Toxicokinetics: The Assessment of Systemic Exposure in Toxicity Studies Focus on Microsampling」がICHにてステップ4合意され、マイクロサンプリング技術の毒性評価への実践的な利用が強く期待されている。

 TK評価におけるマイクロサンプリング手法の活用は、動物からの採血量を抑えることに伴う苦痛軽減、あるいはTKサテライト動物の削減といった動物実験の3Rsへの寄与に加え、発現した毒性と曝露の関連づけを容易にするという点で、試験評価上の大きな利点が見込まれる。しかしながら、マイクロサンプリングによる微量採血が毒性試験にもたらす影響について十分な検証データは存在しておらず、普及が進んでいるとは言い難い。

 平成29年度にAMED創薬基盤推進研究事業において、医薬品・医療機器の実用化促進課題に採択された「革新的医薬品等開発のための次世代安全性評価法の開発・標準化と基盤データ取得」では、マイクロサンプリングによる微量採血操作が毒性試験に与える影響に関するデータ取得及び検証が計画され、当社は食品素材あるいは医療関連素材の毒性評価への応用を企図し、本プロジェクトへ参画している。当該検証研究では、げっ歯類(ラット)を用いた4週間反復投与毒性試験を想定した試験条件において、毒性試験群の動物に対して微量採血操作を経時的及び経日的に実施し、毒性評価パラメータに及ぼす採血の影響について精査を行っている。本発表では、当社における取得データを紹介するとともに、マイクロサンプリング技術の毒性試験への活用に向けた課題の抽出と、今後の展望について述べる。

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© 2018 日本毒性学会
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