日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: W3-1
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ワークショップ3
実験動物における網膜・視神経毒性とそのメカニズム
*山下 晴洋
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抄録

 網膜・視神経毒性は神経組織に対する傷害を含むため、その変化の多くは非可逆的であり、眼毒性の中でも重篤かつQOL(Quality of Life)に対する影響が大きいといえる。非臨床安全性評価において、医薬品や化学物質の曝露により網膜・視神経毒性が惹起された場合、医薬品であればその開発が中断または制限される要因となり、化学物質であればヒトへの曝露が制限されることになる。これまでにクロロキンやキノホルムによる網膜毒性、エタンブトールやメタノールによる視神経毒性が社会問題となり、現在の医薬品開発においては網膜・視神経毒性に対し細心の注意が払われている。非臨床安全性評価では、通常、眼科学的検査及び病理組織学的検査により網膜・視神経毒性の評価が行われているが、場合によっては網膜電図検査や視覚誘発電位検査などの電気生理学的検査が実施されている。また、近年では光干渉断層計検査Optical Coherence Tomography(OCT)等の画像診断技術が実験動物に応用されるようになり、臨床モニターや臨床バイオマーカーとして活用できる技術も広がりを見せている。これらの検査技術に関する知識やヒトと実験動物の種差を含めた眼科学的知識に加え、過去の事例を学ぶことは網膜・視神経毒性のリスク評価を適切に行う上で重要である。

 本講演では、過去にヒトで網膜・視神経毒性が問題となった医薬品や化学物質の実験動物における研究事例に加え、医薬品の非臨床安全性評価で報告された網膜・視神経毒性の事例についてメカニズムを含め最近の知見を紹介する。

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