日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: W4-2
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ワークショップ4
治験開始のための細胞加工製品における造腫瘍性評価の現状
*野中 瑞穂
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抄録

 医薬品医療機器等法下におけるヒト細胞加工製品の非臨床安全性評価の考え方は、製品の由来(体細胞、体性幹細胞、iPS細胞、ES細胞等)により、「ヒト(自己)由来細胞・組織加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針」を含めた5通知(平成24年9月7日薬食発0907第2号~第6号)に基本的な考え方が示されている。また、当該指針では、技術的に可能かつ科学的合理性のある範囲において、動物を用いた安全性評価を求められており、ヒトに投与される際に安全性上の明らかな懸念の有無や、製品が投与されるヒトにおける安全性の予測、治験で得られる有害事象との関連性の確認に役立つ情報を把握することが必要である。医薬品及び医療機器のように、参考となる試験法ガイドラインが整備されていないこと、ヒト由来細胞の場合、動物を用いた安全性評価は限定的であると考えられること、製品の由来細胞や製造方法が多種多様であること、等から、個々の製品の特性及び治験で対象とする疾患に応じて、柔軟かつ合理的にケース・バイ・ケースでの対応が求められている。

 ヒト細胞加工製品の治験を実施する場合には、一般毒性評価、造腫瘍性評価、主要な生理学的機能に対する影響の評価、製造工程由来不純物に対する安全性評価が必要と考えられる(再生医療等製品(ヒト細胞加工製品)の品質、非臨床試験及び臨床試験の実施に関する技術的ガイダンス、平成28年6月27日事務連絡)。本発表では、主に造腫瘍性評価に焦点を絞り、これまでにPMDAが実施した薬事戦略相談及び治験相談での経験や事例を踏まえて、ヒト細胞加工製品の由来細胞に応じた造腫瘍性評価の考え方、造腫瘍性試験の目的や試験デザインの要点等について概説する。

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