日本毒性学会学術年会
第45回日本毒性学会学術年会
セッションID: W4-3
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ワークショップ4
再生医療製品等の造腫瘍性試験のバリデーションのための産官連携多施設共同研究「MEASURE」の取り組み
*坂東 博人山本 恵司奈良岡 準三好 荘介渡辺 武志我妻 昭彦坂東 清子鈴木 睦西田 仁糀谷 高敏田中 直子神山 佳輝西垣 扶佐子村岡 ひとみ安田 智佐藤 陽治
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抄録

多能性幹細胞(iPSC)由来製品の臨床応用において、製品に含まれる未分化細胞や形質転換細胞による腫瘍形成は安全性上の重大な懸念であるが、これまで造腫瘍性評価に関する国際的に合意された標準的試験法は存在しない。本課題に取組むため産官連携による「細胞加工製品の造腫瘍性評価に関する多施設共同研究(MEASURE)」が開始された。MEASUREでは、造腫瘍性評価の現状分析結果に基づき、免疫不全マウスを用いて未分化細胞を検出するin vivo試験、未分化細胞を検出するin vitro試験2種(培養増幅法及びPCR法)、形質転換細胞を検出するin vitro試験2種(デジタル軟寒天コロニー法及び不死化細胞検出法)及びAlu-qPCRを用いた細胞体内動態試験の計6試験についてバリデーションを行う。国立医薬品食品衛生研究所及び民間企業約25社が協働し、本試験に用いる共通プロトコルを作成するための予備試験を実施中である。未分化細胞を検出するin vivo試験ではヒト線維芽細胞に、培養増幅法ではヒト間葉系幹細胞(hMSC)に、PCR法ではヒト網膜色素上皮細胞に、それぞれ0.01-10%、0.001-0.005%及び0.0003-0.1%の割合でiPSCを混入させ、また形質転換細胞検出試験2種では、いずれもHela細胞を0.0001-0.01%の割合でhMSCに混入させ、その検出可否を検討している。細胞体内動態試験ではPCR 検出法、primer/probeセット、DNA 抽出法等の最適化を図った後、検量線、特異性、真度及び精度、マトリックス効果などの検討を行っている。今後、予備試験結果に基づき、本試験の共通プロトコルを最終化し、3施設以上で本試験を実施して試験法のバリデーションを行う予定である。さらに、これらの試験方法および成績は日米欧の規制当局にも共有して試験法の国際標準化を図っていく。

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© 2018 日本毒性学会
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