日本毒性学会学術年会
第46回日本毒性学会学術年会
セッションID: O-22
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一般演題 口演
HLA-B*58:01を介したオキシプリノールによる細胞傷害性T細胞の活性化に必要な抗原ペプチドの探索
槇野 隆太長部 誠*頭金 正博
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抄録

【背景・目的】スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)や中毒性表皮壊死融解症(TEN)のような特異体質性副作用では、特定のヒト白血球抗原(HLA)型を介して細胞傷害性T細胞(CTL)を活性化させる機序が想定されている。アロプリノール(ALP)及びその活性代謝物であるオキシプリノール(OXP)によるSJS/TENの発症はHLA-B*58:01との強い関連が報告されているが、発症時にヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)の再活性化がみられることが報告されている。そこで本研究では、ALP/OXPによる特異体質性副作用のin vitro評価系の構築と、OXP添加時にHLA-B*58:01に結合しCTLを活性化させるHHV-6由来の抗原タンパク質の探索を目的とした。

【方法】HLA-B*58:01と補助刺激分子CD80を共発現させた抗原提示細胞とヒト末梢血単核球(PBMC)をOXPの存在下で共培養し、複数のサイトカイン類による刺激を加えることによってPBMCからCTLの誘導を行った。OXP添加または抗原タンパク質を抗原提示細胞内に導入し発現させた影響によるCTLの活性化は、CTLが放出したサイトカイン量を算出することで評価した。抗原タンパク質としてはHHV-6 U54抗原を用い、またHLA-B*58:01の特異性を検証するためにHLA-B*44:03発現細胞を用いて同様の操作を行った。

【結果・考察】HLA-B*58:01(+)のPBMCからCTLを誘導した結果、CD3+CD8+細胞の誘導を確認できた。また、HLA-B*58:01発現細胞において、OXPの添加とHHV-6 U54抗原を抗原提示細胞に導入した条件下でのみCTLでのIFN-γ産生量の有意な上昇が認められた。一方、対照群としたHLA-B*44:03発現細胞においてはCTLでのIFN-γ産生量の有意な増加は認められなかった。さらに、HHV-6 U54抗原を3つに分割し抗原提示細胞に導入したところ、451-930 bp領域のフラグメントでのみCTLの活性化が認められた。以上の結果から、OXPによってHLA-B*58:01特異的にCTLを活性化させる際に必要な抗原ペプチドが、HHV-6 U54抗原の451-930 bp中に存在する可能性が示唆された。

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