日本毒性学会学術年会
第46回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-127
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ポスターセッション
LAT1選択的阻害薬JPH203の腎癌細胞への細胞障害作用
*樋口 耕介降幡 知巳竹下 暢重安藤 敬佑坂本 信一安西 尚彦市川 智彦
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抄録

【背景】アミノ酸トランスポーターLAT1(SLC7A5)は、必須アミノ酸を含む中性アミノ酸をNa+非依存的に輸送するトランスポーターであり、癌特異的に発現していることが知られており、様々な癌種において予後との関わりが報告されている。また、LAT1選択的阻害薬であるJPH203が種々の癌細胞の増殖を抑制するという報告がなされている。泌尿器科癌由来細胞株においてもLAT1の発現が亢進することが報告されているが、実際のヒト検体を用いた報告やJPH203の効果の報告は少ない。

【方法】2007年1月から2012年12月に当科で根治的腎摘除もしくは腎部分切除を施行した患者で淡明細胞腎細胞癌 (ccRCC ) と診断された99例について、免疫染色のscoringを行い、組織学的にLA1の発現と予後について検討した。また、腎細胞癌由来細胞株2種を用いて、qPCRとWestern blotでLAT1の発現解析行い、LAT1選択的阻害薬JPH203の細胞毒性、14C leucineの取り込み阻害効果を検討した。

【結果】ccRCC患者において、LAT1 染色scoreの高い群が全生存率、無増悪生存率共に有意に予後不良であった ( p=0.0427および p=0.0082 )。また、腎細胞癌細胞株においてLAT1が高発現しており、JPH203はleucineの取り込みを阻害し、in vitroで濃度依存的に細胞毒性を持つことが示された。

【考察】これらの結果から淡明細胞腎細胞癌において、LAT1の発現が予後予測因子となり、また、新規治療標的としてJPH203が治療薬となる可能性が示された。

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