日本毒性学会学術年会
第46回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-205
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ポスターセッション
ゼブラフィッシュを用いた新世代ビスフェノール類のエストロゲン様作用の比較
*久保田 彰Jae Seung LEE若山 裕己中村 倫子芳之内 結加岩田 久人平野 将司中田 晴彦川合 佑典
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抄録

ビスフェノールA(BPA)は、エストロゲン受容体(ER)を介した内分泌撹乱作用や中枢神経系に対する毒性を引き起こすことから、国内外でリスクの再評価や規制が実施されてきた。一方、BPAの代替物質としてBPS、BPF、BPAFなどの利用が近年増加しつつあるが、その安全性評価は立ち遅れている。そこで本研究では、ゼブラフィッシュを用いたin vivo in silico解析により多様な新世代ビスフェノール類のエストロゲン様作用を評価・比較した。まず、胚を用いてin vivo曝露試験を行い、ER標的遺伝子(CYP19A1b)のmRNA発現量に関する用量-応答曲線より、CYP19A1b誘導能を指標とした50%影響濃度(EC50)ならびに相対活性値(REP)を算出した。EC50およびEmaxによる比較では、BP C2およびBPAFは、最大効力は低いが相対的に高い用量効果を示した。一方、BPA、BPE、BPFは、用量効果は相対的に低いが、E2と同等の高い最大効力を示した。またBis-MPは、用量効果・最大効力ともに高値を示した。REPによる比較では、Bis-MPが他のBPAと比べ一桁高い値を示した。次いで、分子シミュレーションソフトを用いてERの3Dホモロジーモデルを構築し、新世代ビスフェノール類との相互作用をin silicoでシミュレーションした。その結果、各ERサブタイプ(Esr1, Esr2a, Esr2b)との相互作用エネルギーが低い物質ほど、in vivoにおけるCYP19A1b誘導のEC50値は有意に低値を示した。これに対し、REPと相互作用エネルギーの負の相関関係は、Esr2bのみで有意であった。本研究の結果から、新世代ビスフェノール類とERサブタイプの相互作用をin silico解析することで、in vivo曝露試験によるエストロゲン様作用の用量効果を予測できることが示唆された。

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© 2019 日本毒性学会
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