日本毒性学会学術年会
第46回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-204
会議情報

ポスターセッション
高感度化酵母を用いた性ホルモン受容体レポーターアッセイによるビスフェノール関連化合物の評価
*小川 真弘原島 小夜子京谷 恭弘川西 優喜八木 孝司寺田 めぐみ
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】内分泌かく乱物質は、極微量で我々の体内に数種類存在するホルモン等の生理活性物質の働きを模倣あるいは阻害する。内分泌かく乱作用のin vitro 試験系として出芽酵母を用いたレポーター遺伝子アッセイが挙げられる。従来の出芽酵母は化学物質の細胞膜浸透性が低く、哺乳動物細胞を用いた評価系に比べ内分泌かく乱作用の検出力が低い問題点があったが、我々はこれまでに化合物の細胞膜透過性が高い出芽酵母を用いたレポーター遺伝子アッセイを確立し、内分泌かく乱物質を高感度に検出可能であることを報告している。そこで本試験では、エストロゲン受容体(ERα及びERβ)、アンドロゲン受容体(AR)、プロゲステロン受容体(PR)を評価する4つのレポーター遺伝子アッセイを用いてプラスチック含有物であるビスフェノールA及びビスフェノール関連化合物を評価した。

【方法】ERα、ERβ、ARあるいはPRを高発現している高透過性出芽酵母を被験物質存在下で18時間培養した。その後、レポータータンパク質であるβ-ガラクトシダーゼを出芽酵母から溶出させ、酵素活性を測定した。また被験物質の出芽酵母に対する毒性影響をβ-ガラクトシダーゼを恒常的に発現している出芽酵母を用いて評価した。

【結果】ビスフェノールAはERα及びERβの評価系においてレポーター活性を濃度依存的に増加させ、AR及びPRの評価系において濃度依存的に減少させた。コントロール出芽酵母株を用いた試験においてビスフェノールAはβ-ガラクトシダーゼ活性に影響を及ぼさなかったことから、レポーター活性の減少は出芽酵母に対する毒性影響によるものではないと判断した。またビスフェノール関連化合物にもPRの評価系においてレポーター活性を濃度依存的に減少させるものがいくつか認められたが、これまでに試験した被験物質の中では、ビスフェノールAが最も低い濃度でPRアンタゴニスト活性を示した。ビスフェノールA及びビスフェノール関連化合物は既知のERα/βアゴニスト活性及びARアンタゴニスト活性以外にPRアンタゴニスト活性を有することが判明した。現在、ビスフェノールAのPRアンタゴニスト活性が生体に及ぼす影響について検討している。

著者関連情報
© 2019 日本毒性学会
前の記事 次の記事
feedback
Top