日本毒性学会学術年会
第46回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-227
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ポスターセッション
医薬品の臓器毒性予測におけるin vitroミトコンドリア毒性と物理化学的特性
*原田 拓真Payal RANAMichael D ALEOMark GOSINKYvonne WILL
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抄録

ミトコンドリア毒性が,肝臓,心臓,腎臓などの様々な臓器毒性に関与することは周知のとおりである。これまで,ミトコンドリア毒性評価系としてはラットの肝臓から単離したミトコンドリアあるいはヒト肝がん由来HepG2細胞を用いた毒性評価がハイスループットスクリーニング法として用いられてきており,作用機序の検討等に有用であるとの報告が多数ある。しかしながら,これらのスクリーニング結果がヒトにおける薬物誘発性肝障害の予測因子となるとの実証報告は限られている。本研究では,肝毒性のある73薬物,心毒性のある46薬物,腎毒性のある49薬物および臓器毒性のない60薬物を上記のアッセイ系で評価して,ミトコンドリア機能への影響を検討した。また,アッセイの感度および特異度から特定の臓器毒性の予測性を評価した。その結果,予測感度はどの臓器毒性の薬物においても治療用量でのヒト血漿中Cmaxの100倍の濃度で最高となり(肝毒性薬物,心毒性薬物および腎毒性薬物で,それぞれ63%,33%および28%),その際の特異性度はどの臓器毒性の薬物においても93%であった。また,他の予測分析(ミトコンドリア膜透過性遷移孔への影響,ミトコンドリアの膨化/脱分極あるいは脂肪酸酸化への影響)と組み合わせるとその感度がより上昇することが分かった。さらに,ミトコンドリアアッセイで陽性となった薬物は、陰性となった薬物に比べてCLogPの値が高く,tPSA(位相幾何学的極性表面積)の値が低い傾向を示した。

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© 2019 日本毒性学会
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