日本毒性学会学術年会
第46回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-70
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ポスターセッション
EGME及び1,3-DNB反復投与時のラット精巣における網羅的タンパク発現解析
*土屋 卓磨日堂 佑哉高橋 則彦阿部 香織
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抄録

【目的】代表的な精巣毒性物質であるEthylene glycol monomethyl ether(EGME)及び1,3-Dinitrobenzene(1,3-DNB)はそれぞれ精母細胞及びセルトリ細胞を主要な毒性標的細胞とし,反復投与時の精巣組織或いはホルモン等における経時的推移は異なる。また,Liquid chromatography-tandem mass spectrometry(LC-MS/MS)を用いた網羅的タンパク発現解析は,当該組織内における生体反応を理解する上で有用であり,近年その活用例は増加している。そこで本研究では,このような毒性標的の異なる2つの精巣毒性物質について,反復投与時のタンパク発現変動を経時的網羅的に解析することで,それぞれの毒性発現機序並びに関連する生体反応を推定し,その差異を明らかにすることを試みた。

【材料と方法】8週齢の雄性SDラットに対して,EGME及び1,3-DNBをそれぞれ200 mg/kg/day及び5 mg/kg/dayの用量で最長14日間反復経口投与した。1,3,5,7,14回投与後のそれぞれ翌日に経時的に解剖し,採取した精巣について臓器重量測定,病理組織学的検査及びLC-MS/MSによる網羅的タンパク発現解析を実施した。

【結果】病理組織学的検査の結果,EGME投与により,投与初期のステージXII~XIV精細管における精母細胞の変性を特徴とする変化がみられ,1,3-DNB投与群では,投与初期からセルトリ細胞傷害を示唆する精細管内空胞が精細管ステージ非特異的に認められ,いずれの変化も最終的には精細管萎縮に至った。網羅的タンパク発現解析の結果,薬物代謝酵素誘導や酸化還元反応,解糖系などに関連する因子群の発現変動が確認された。集会では,2剤に共通した或いは2剤で異なった変動を示す因子に着目した解析結果について詳細に報告する。

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