日本毒性学会学術年会
第46回日本毒性学会学術年会
セッションID: S14-1
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シンポジウム 14
マクロファージによる無機微粒子の認識機構
*中山 勝文
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抄録

シリカ(二酸化珪素)やアスベスト等と同様に一部の無機ナノ粒子は重篤な肺疾患等を引き起こす危険性が指摘されている。生体内においてこれら無機微粒子の表面は、細菌や死細胞といった病原体の表面と同様に負に帯電し、またそれら表面に補体等が付着するため、マクロファージなどの貪食細胞が病原体と見誤って無機微粒子を貪食すると予想される。しかしながら無機微粒子は病原体とは異なり貪食細胞内で消化されず、細胞ストレス応答(NLRP3インフラマソームの活性化や細胞死など)を引き起こす。これが疾患を引き起こす原因であると考えられる。しかしながらその一方で貪食細胞が細胞表面でどのように無機微粒子を認識するかについては未だに不明な点が多く残されている。今回我々は、貪食細胞による微粒子の認識機構を解明する一環として、マクロファージcDNAライブラリーを用いた機能的スクリーニング法により、シリカ粒子受容体としてクラスBスカベンジャー受容体メンバー1(SR-B1)を同定した。さらにマクロファージは単に電荷だけでなく形状や材質などに応じて異なる受容体を介して無機微粒子を識別している可能性があることが判ってきた。本シンポジウムではスカベンジャー受容体ファミリー分子を介したマクロファージの無機微粒子の認識機構および炎症性疾患への関与について我々の研究成果を中心に紹介したい。

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