日本毒性学会学術年会
第46回日本毒性学会学術年会
セッションID: W7-4
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ワークショップ 7
新規培養技術を用いた胆汁排泄・うっ滞評価系開発への取り組み
*石田 誠一
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抄録

生体での医薬品候補化合物の振る舞いをin vitroヒト細胞培養系で予測することは、動物を用いた非臨床試験で問題となる種差を克服できるだけでなく、化合物評価の効率化が期待され、新薬開発の成功確率の向上と期間短縮、コスト削減につながる。そのため、生体模倣システム(microphysiological system:MPS)など、様々な培養手法の開発が盛んである。我々は、培養機器やヒト化肝キメラマウスを開発する企業や研究機関、細胞資源を供給するベンダー、さらにユーザーである製薬企業や食品メーカーと産官学の研究班を組み、近年になり開発、改良が進む培養基材と新規培養細胞資源を組み合わせることで、医薬品開発で求められるin vitro細胞培養系を構築する開発研究を進めている。特に、胆汁うっ滞が関係する肝障害を高い予測性をもって評価しうるin vitroヒト評価系が存在しないため、候補化合物の肝臓への取り込み、胆汁排泄などの生体内を適切に反映している培養システムの開発へのユーザーの期待が大きい。そこで、本研究班では、肝細胞に特徴的なapical面とbaso-lateral面の配向性を適切に再現する培養法を検討し、肝実質細胞の隣接細胞の間での毛細胆管構造のin vitro再構成を開発の目標としている。本講演では、近年開発が進む培養器材と生体に近い肝機能の維持が期待されるヒト肝キメラマウスから単離された肝細胞等の組み合わせによる肝障害をin vitroで評価できる細胞培養系の構築について研究の進捗を報告し、今後の開発の方向性について広く議論したい。

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