日本毒性学会学術年会
第47回日本毒性学会学術年会
セッションID: P-182
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免疫抑制剤アザチオプリンのラットを用いた発生毒性に関する研究:器官形成期における単回投与による影響
*坂 芳樹飯野 美玖菅野 亜弥宮崎 優輝堀本 政夫
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抄録

【目的】アザチオプリンは免疫抑制剤として自己免疫疾患等の治療に用いられているが、過去の動物実験で胚致死作用と催奇形作用が認められている。昨年の本学会ではラットの器官形成期を3分割してアザチオプリンを3日間経口投与した結果、胚致死作用は確認されたが、催奇形性作用を示唆する作用がないことを報告した。本研究では、より高暴露の条件でラットの器官形成期の各日にアザチオプリンを単回経口投与し、母動物及び胎児に及ぼす影響を検討した。

【方法】SD系雌ラットの妊娠7から14日の各日にアザチオプリンの40 mg/kgを各々単回経口投与した。試験期間中は母動物の一般症状と体重測定を毎日実施した。妊娠21日に帝王切開を施し、着床数、死亡胚数及び生存胎児数を調べた。生存胎児は体重測定および外表観察を行った後、骨・軟骨二重染色を施して骨格検査を実施した。

【結果】母動物の一般状態に投与による影響はなかった。母動物体重は投与日の翌日に一過性に減少した。帝王切開所見では、妊娠7日、8日、9日および10日投与群において着床後胚死亡率が有意に増加(各々100%、100%、85.4%及び100%)した。生存胎児体重は、妊娠 9 日および 11 日投与群で軽度な減少が認められた。生存胎児に外表異常、骨格異常は観察されず、骨格変異も有意な増加は認められなかった。

【結論】アザチオプリン40 mg/kgを妊娠ラットの妊娠7から14日の各日に単回経口投与した結果、昨年実施した3日間投与の試験と同様に胚致死作用と胎児の発育遅延は認められたが、催奇形作用を示唆する所見は認められなかった。さらに本研究では胚致死作用の感受期は妊娠7日から10日であることがわかった。

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