日本毒性学会学術年会
第47回日本毒性学会学術年会
セッションID: S12-2
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シンポジウム12
新たな食品健康影響評価技術-ILSI Japanの取り組み
*川口 友浩
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抄録

我々 特定非営利活動法人国際生命科学研究機構(ILSI Japan)は、食品安全を主要な活動の柱の一つに位置づけ、アカデミアとの連携のもとに活発な活動を行っている。これまでも、食品の適切な安全性評価の推進を目的に、食品の安全性評価の際の要点を収載した「食品の安全性評価のポイント(2007年)」をまとめるなど、安全性評価に使用される新たな評価手法の理解促進に努めてきた。

近年、欧州での化粧品における法規制を皮切りに、安全性領域における動物実験代替の取り組みが化粧品領域を中心に世界的に進行している。加えて、食品の安全性評価については、ヒトに対する予見性がより高い評価手法への転換が課題であり、従来の動物実験に依存した評価手法に代わるものとして、動物実験代替への期待が高まっている。一方、食品領域における安全性評価手法においては、公的に認められた動物実験代替法が存在しないのが現状である。

このような状況のもと、ILSI Japanでは、食品の安全性評価に活用可能な動物実験代替技術開発の推進を目的として、食品安全領域の動物実験代替推進プロジェクトを立ち上げ、活動している。本プロジェクトには食品に関連する企業が参画し、アカデミアと連携しながら「最新技術の情報収集」、「代替加速のための研究推進」、および「コンセンサス形成のための情報発信」を柱とした活動を行っている。現在、新たな安全性評価戦略の構築を目的に、既存の毒性試験情報を有効に活用した食品成分の毒性予測のための食品成分毒性試験データベースの構築、および、食品の安全性評価に必須である腸管吸収に始まる体内動態予測技術の開発、の2つの研究テーマに取り組んでいる。本講演ではプロジェクトでのこれらの最新の取り組みについて紹介する。

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