日本毒性学会学術年会
第47回日本毒性学会学術年会
セッションID: S15-2
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シンポジウム15
ゲノム編集技術を用いて改変されたヒト細胞加工製品の非臨床安全性評価
*真木 一茂
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抄録

 2014年11月に医薬品医療機器等法が施行されて以来、本邦では骨格筋、皮膚及びリンパ球由来の体細胞や骨髄由来間葉系幹細胞等の6つのヒト細胞加工製品が上市されているが、再生医療の経済性及び迅速性の観点から、他家の多能性幹細胞の活用が期待されている。他家の多能性幹細胞を利用する際には、免疫拒絶反応を回避することが必要となることから、これまでHLA(3座)ホモドナー由来iPS細胞の樹立等が実施されてきたが、新たな方策として、ゲノム編集技術を用いてES/iPS細胞のHLAを改変することが検討されている。

 ゲノム編集技術を用いた細胞加工製品(以下、ex vivoゲノム編集製品)を開発する場合には、ヒト細胞加工製品及び遺伝子治療用製品の観点から非臨床安全性評価が必要となる。すなわち、ヒト細胞加工製品の観点からは、「ヒト(自己)由来細胞や組織を加工した医薬品又は医療機器の品質及び安全性の確保に関する指針」を含む7つの通知、及び「ヒト細胞加工製品の未分化多能性幹細胞・形質転換細胞検出試験、造腫瘍性試験及び遺伝的安定性評価に関する留意点」等を踏まえて安全性評価が実施される。一方、遺伝子治療用製品の観点からは、ex vivoゲノム編集製品の製造工程において、外来遺伝子や人工ヌクレアーゼの導入によるゲノム改変が行われることから「遺伝子治療用製品等の品質及び安全性の確保に関する指針」に準じた安全性評価が必要となる。

 本講演では、ヒト細胞加工製品及び遺伝子治療用製品の非臨床安全性評価に関する基本的な考え方を概説した上で、ex vivoゲノム編集製品について、特にゲノム編集に特有の安全性上の懸念(ゲノム欠失、染色体異常、ゲノム修復遺伝子の変異、目的外ゲノム配列への作用等)を中心に、非臨床安全性評価に関する考え方を紹介したい。

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